特定有期雇用教職員就業規則等の一部改正についての意見書

投稿日時 2007-10-18 17:16:54 | カテゴリ: 吉田事業場

2007年10月1日

国立大学法人京都大学総長
尾 池 和 夫 殿

京都大学吉田事業場
労働者過半数代表 小 田 滋 晃

特定有期雇用教職員就業規則等の一部改正についての意見書


 京都大学が「世界トップレベル研究拠点プログラム」(以後、プログラムと略)に選定されたことで、当該拠点で就業する教職員への対応のための就業規則変更の必要性は理解する。その上で、以下の意見を申し述べる

1.「京都大学教員の任期に関する規程」との関係について
 当該規則第2条において「任期を付して雇用する教員」という表記があり、同第6条に「契約期間」の定めが記されている。今回のプログラム選定にあたり、「京都大学教員の任期に関する規程」(以後、「任期規程」という)に変更が加えられていないことから、第6条の「契約期間」は第2条の「任期」の年数を具体的に説明した同義の言葉であると推測する。
 国立大学法人は労基法と任期法の二つが適用される事業体である。「任期」「契約期間」などの用語については、法令・規程などの関連性が明確になる表現を用いられたい。
 また、任期規程は法人化以降、何度か改正された形跡が見られるが、これまで過半数代表者への説明や意見聴取が行われていない。任期規程は極めて重要な教職員の労働条件を定めるものであり、改正の折には、過半数代表者への説明と意見聴取があって然るべきである。
2.京都大学の教育・研究・医療水準の向上のために
 研究拠点に就業する教職員に報酬額の上積みをすることを中心とする今回の就業規則の改正はつまり、これまでの京都大学教職員の報酬水準では、優秀な研究者を集めることができないことを如実に表している。
 今回のようなプログラムによって優秀な研究者を招聘することは、教育・研究・医療水準の向上のための一つの方策であることは否定しない。しかし秀でた研究の裾野には多様な研究とそれに携わる多くの研究者等の地道な活動があることを忘れてはならない。
 京都大学が教育・研究・医療のより高い峰を築きたいと望むのであれば、少数の高報酬研究者を招聘するだけでなく、可能性を秘めた学生・研究者およびそれを支えるスタッフたちが希望を持って就業できるよう、京都大学教職員全般の報酬水準の向上を図られたい。

3.新規プログラムや日常業務を支える人員体制の充実を
 今回のようなプログラムは、当該プログラムで採用される研究者・スタッフだけで運営できるわけでなく、既存の教職員の力を必要とする場面も多く発生することが予想される。しかし現在の教職員の勤務状況を見ると、本当に新しいプログラムを支えていけるのかどうか非常に心許ない。特に、一般職員の充足状況の悪さに危機感を覚える。この9月に12,3名の一般職新規採用者を迎えたが、聞くところによると内定者の50%以上が京都大学への就職を辞退したという。この先数年、団塊世代職員の大量退職が続く中で、新規採用が低迷を続ければ、新規プロジェクトはおろか既存の日常業務にさえ支障をきたすことになりかねない。新規採用の低迷の原因は、これまで再三申し述べてきたように、京都大学教職員の賃金・労働条件が相対的に低いことに起因している。近年、新卒労働市場が売手市場に転じていることで、この問題の本質が露呈されてきた。京都大学が望むだけの新規採用者を確保したいのであれば、賃金・労働条件の抜本的な改善が必要であろう。
 またこのような状況においては、新卒世代を中心とした新規採用以外の採用ルートについても真剣に議論が必要ではないか。学内に目を転じれば、京都大学に愛着を持ち常勤職員として働きたいという意欲的な非常勤職員は大勢いる。ともすれば簡単に他の内定先にに流れてしまうような新卒世代の内定者をつなぎ止めるより、彼らの方がよっぽど京都大学にとって良い働きをしてくれるであろう。このような見地から、現在の学内採用選考制度の見直しも含め、採用ルート複線化を進めるべきである。



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