就業規則・労使協定に関する協議結果報告
投稿日時 2010-03-31 13:05:29 | カテゴリ: 理事との協議
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就業規則と労使協定に関する大学側との話し合いの結果報告
2010年3月31日 吉田事業場過半数代表 宇仁宏幸
3月11、18、23、25、30日の5回にわたり、塩田総務担当理事と就業規則と労使協定に関して話し合いを行いました。最後まで見解の隔たりを埋めることができなかったのは、「時間外・週休日勤務に関する協定」(いわゆる36協定)の第3条(特別時間外勤務)の第2項の1カ月45〜60時間または1年360時間超の時間外勤務の割増賃金率です。異例ですが、今回の36協定の有効期間は4月1日〜9月30日の6カ月間とし、この間に割増賃金率に関して「法令の趣旨を踏まえ、改善に向けた協議を行う」ことにして、3月30日に36協定を締結しました。
1.割増賃金率に関する主な対立点 (1)割増賃金率引き上げの必要性 過半数代表:「過重労働による健康障害の恐れ」を指摘する産業医面談結果が今年度12件に達することに示されるような、高負荷の時間外労働の実態からみて、割増賃金率25%はきわめて不十分である。4月に施行される改正労働基準法において、1カ月45〜60時間または1年360時間超の時間外勤務の割増賃金率については、25%を超える率とするよう努めることと定められている。45時間以下の25%と60時間超の50%の中間値にあたる40%とすべきである。 大学:改正労働基準法の規定は努力義務にすぎない。
(2)国家公務員準拠 過半数代表:割増賃金率は上限時間とセットである。人事院の指針では、国会関係部署などごく一部を除き国家公務員の上限時間の目安は360時間である。京都大学の上限時間は570時間である。上限時間が大きく異なるのに、割増賃金率だけを国家公務員に準拠するという見解は受け入れられない。 大学:国家公務員に準拠して25%とすべきである。
(3)財務的制約 過半数代表:割増賃金率を40%にした場合の経費増は、京都大学全体で1年間に1700万円である。昨年の賃下げ分9億円の50分の1にすぎない(そしてこの9億円の使途についてわれわれはまともな説明をまだ受けていない)。財務的制約を針小棒大にもちだす話ではない。 大学:運営費交付金削減が続いており、財務的に苦しい。
(4)他大学との横並び、社会への説明 過半数代表:京大や東大という大手は、他大学の様子を見るのではなく、独自の見識と判断で、相場を作り出す役割がある。授業料免除や、女性研究者の支援などでは、京大は他の大学にみられない先進的な取り組みをしている。なぜ職員の待遇改善ではそれができないのか。民間では50%以上を要求している例もあり、40%は控えめな率である。改正労基法の趣旨にそった割増賃金率引き上げであり、社会的にも十分説明がつく事柄である。 大学:他大学から突出した決定はできない。
2.その他の変更 厚生労働省告示第355号にそって、特別時間外勤務を臨時的なものに限定する形に、第3条の文言を変更しました。 第3条本文 「緊急の業務その他やむを得ない事由によるとき」-->「緊急の業務その他やむを得ない臨時的事由によるとき」 第3条の表内 「業務処理期限のひっ迫」-->「臨時的事由による業務処理期限のひっ迫」 「施行期限のひっ迫」-->「臨時的事由による施行期限のひっ迫」 ただし、昨年12月の36協定改定で導入された「1年のうち10カ月におよぶ特別時間外勤務」について、大学側は「臨時的」であるとの見解をなお主張しており、この点については過半数代表として引き続き是正を求めていきます。
3.特別時間外勤務の上限 特別時間外勤務の上限は、昨年12月の36協定改定前の状態に戻りました。すなわち、1日10時間、1カ月70時間(1年に6カ月、そのうち2カ月は特別な理由があるとき80時間)、1年570時間が上限です。過半数代表は1日10時間の日数制限と1月80時間の削除を要求しましたが、過労死認定基準に触れるような超勤は現場管理者が命じないとの大学側の回答を信用して譲歩しました。 4.育休、介休等の労使協定 非正規教職員の均等待遇について次のようなやりとりをしました。 大学: 勤続年数の短いもの、勤務時間が短いものを、一般職員と同等に扱うのは適当でない。 過半数代表: なぜ適当ではないのか。 大学: 必要性の程度が異なる。 過半数代表: 勤務時間が短いといっても本学では数時間の違いである。 大学: 適用除外しても法令解釈上問題ない。 過半数代表: 法令は除外の最大限を定めているだけである。また、「申し出を拒むことができる」となっているので、当然拒まないこともできる。 大学: 現実に、勤続年数の短い職員や時間雇用職員の適用除外によって問題が起きていない。問題があれば部局からそのような改正要求が上がってくるはずであるが、上がってきていない。 過半数代表: 就業規則には、「申し出ができない」と書かれているので、申し出そのものが門前払いされている。 大学: 今後は、勤続年数の短い職員や時間雇用職員の申し出も受け付けるようにする。また、拒む場合はその理由を書いて、返答するように、申し出の書式を改める。また当然、拒む場合もあるが、拒まない場合もありうる。 [結論]: きわめて不十分ですが、労使協定は大学側提案通りで締結し、申し出書式に、拒む理由を記載する欄を追加することで合意しました。今後は、申し出の実績数と、「拒まない」ケースの実績数を積み上げていくことが重要だと考えます。
5.就業規則の変更 意見書をご参照ください。
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