労使協定
労使協定 : 超過勤務に関する法規制違反の是正指導要請について
2010年1月19日
京都上労働基準監督署長 殿
京都大学吉田事業場過半数代表 宇仁宏幸
京都大学職員組合中央執行委員長 松波孝治
超過勤務に関する法規制違反の是正指導要請について
労働時間延長の限度に関する法規制(労働基準法第36条第2項、厚生労働省告示第355号、基発第1022003号)では、36協定の特別条項の適用を臨時的業務に限定して、適用月数は6回以下と定められています。京都大学吉田事業場では、2009年12月末現在で特別条項が7回適用された職員が5人、また2010年3月までに7回以上適用が確定している職員が4人となっています。また、2009年12月末現在で特別条項6回適用が3人、5回適用が25人、4回適用が24人であり、年度末の業務繁忙により、このままいけば、これらの職員の多くが今年度末には7回以上適用となると考えられます。
このような法規制違反が発生するきっかけは、京都大学当局と前任の吉田事業場過半数代表とが、2009年12月16日付けで36協定を改定したことにあります。改定前の協定第3条(特別時間外勤務)では「1カ月70時間、1年に6回」と定められていましたが、改定後は「1カ月70時間、1年に10回」に変更されました。あわせて、年間の超勤時間限度は570時間から、720時間(一部部署については800時間)に変更されました。
京都大学職員組合と総務部長との間で2009年11月17日に行われた労使折衝においては、総務部長が述べた36協定改定の意向に関して組合側は反対の意向を表明しました。2009年12月の労働時間短縮推進委員会では、改定案は了承されましたが、改定内容の説明の際、当局側はこの改定内容が上記の法規制に違反することを説明しておらず、当局の説明には重大な瑕疵があると考えます。また、2009年12月15日に開催された吉田事業場衛生委員会では、改定に含まれる問題点が指摘され、了承には至りませんでした。
2010年1月1日に、宇仁宏幸が吉田事業場過半数代表に就任し、1月7日付けの京都大学総長宛の申し入れ書で、法規制違反を指摘し、36協定の再改定を要求しました。しかし、京都大学当局は1月15日付けの塩田浩平理事名の回答書で、過半数代表の要求を「理解できない」として、法規制違反の是正に応じようとしません。この塩田浩平理事名の回答では「労働時間短縮推進委員会の了承を得、さらに吉田事業場衛生委員会でも了承を得た」と述べられていますが、上記のような点が事実に反しております。
また、当局は36協定改定の理由として補正予算関連の臨時的業務の発生を挙げましたが、添付した特別時間外勤務通告書をみていただければわかるように、それは一部であり、法規制違反の超過勤務が行われている業務の中には、臨時的とは認めがたい恒常的業務も多くあります。
また、2009年12月末現在で特別条項5回適用の一職員に対し2009年12月28日付けで「過重労働によって健康状態の悪化を来す恐れがある」という産業医による面接指導結果も提出されました。1月、2月、3月には、多くの職員に7回以上となる特別時間外勤務が命じられることはほぼ確実であり、過重労働による健康被害の拡大が懸念されます。
労働基準監督官におかれましては、事態の深刻さをご理解いただき、6回を超える特別時間外勤務命令や非臨時的業務の特別時間外勤務命令という法規制違反をやめること、ならびに法規制を遵守した内容に36協定を再改定することを京都大学当局に対し、ご指導いただくようお願い申し上げます。
以上
※提出文書では「法令違反」という用語を用いていた部分がありますが、正確を期してWebサイトでは「法規制違反」と表現を変更しております。なお、この表現について使用者側から「本件は、『行政通達』には抵触するが、法令には違反していない」として、表現修正が申し入れられています。1月26日〜29日まで吉田事業場過半数代表が外国出張中につき、サイト管理者の暫定措置として修正申入があったことの事実をご案内します。
過半数代表 宇仁宏幸の見解
現36協定にある特別条項適用月数10箇月という規定は、特別条項適用を臨時的なものに限るとした厚生労働省告示第355号に違反していると考えます。この見解は、信頼できる専門家にも確認しています。
上記の使用者側の見解は特別条項適用月数10箇月でも臨時的であり、この告示に違反していないというものですが、12箇月のうち10箇月起きる事象を「臨時的」であると判断することには、わたしはとうてい同意できません。
社会科学ではひとつの事実に関して複数の見解や解釈が存在することはよくあることです。わたしと別の見解をお持ちならば、メールでわたしのホームページの修正を求めるのではなく、大学のホームページや広報誌で総長名なりで、そちらの見解を堂々と展開してほしいと思います。そのような公開された議論の方が大学という組織にふさわしいですし、今回の件に関して大学としての説明責任を果たすことにもなると思います。
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