2006年7月14日
高齢者雇用確保措置についての意見書
京都大学吉田事業場労働者過半数代表者 若林靖永
京都大学経営管理大学院教授
(1)高齢者雇用確保措置について国立大学法人京都大学と3回にわたって説明と協議を行った。それをふまえて、今回の措置についての意見を提出する。
(2)「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」改正では、3通りの高齢者確保措置を示しているが、法人の提案はそのうちの再雇用制度であった。いったん退職させ再び雇用するというもので、高い経験や知識がある者であっても低い賃金に見合う支援業務等の職務、年収240万円というそれまでの賃金支給からはあまりにも低い賃金、というものとなっている。高年齢者の意欲、能力をみるならば、定年の引き上げによって少なくとも年金支給開始年齢まで、計画的な人事配置をする方が、本人にとっても大学運営にとっても有用である。法人の中期計画にも定年の見直しが課題として挙げられており、すみやかに賃金制度の再設計も含めた本格的な検討を行い、定年の引き上げを実現することが望まれる。
(3)今回の常勤職員の再雇用制度の導入に伴い、期限の定めのない労働という実態にある有期雇用職員および時間雇用職員についても、雇用年齢上限を超えて、雇用を認める措置が示された。非常勤職員についても、同様の高齢者雇用確保の措置が図られるという点は評価できるが、有期雇用職員の処遇が時間雇用職員、その時間給1200円というのは遺憾である。国立大学の労使関係の重要問題である1980年以前採用の有期雇用職員(当時、日々雇用職員)は、定員化の必要性を大学としても認めてきた歴史があり、その処遇は可能な限り常勤に近づけることが使用者の道義的責務であると理解される。その点で、今回の措置は常勤職員に導入される再雇用制度と比べ、著しく低い処遇であり、不当なものである。有期雇用職員に対しても新たな再雇用制度を導入する、あるいは少なくとも時間給単価を引き上げるなどすることが求められる。
(4)評価できる点としては、まず、当初提案には通勤手当が設定されていなかったが、協議を通じ、認められたこと。つぎに、「再雇用制度の対象者に係る基準に関する協定書」という労使協定にあるように、実質的に希望する者は広く再雇用の機会を保障するものとなっていること、である。高齢者の雇用の機会を確保するという趣旨にそって運用されるよう、今後とも注力していきたい。
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